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患者様は、「あ」という顔をしてすぐに戻ってきました。70代のおばあちゃまです。
と言う。
疑問に思っていると、私が考えていることが分かったかのように患者様が種明かしをしてくださった。
みなさん、カバンを身に着けたまま用を足すんですか?
「あー痛い」
そう言いながら、投薬カウンターのところにやってきて、おもむろに股間に手を伸ばし、もみもみとしだすおじいちゃん(もちろん、着衣の上からですよ!)。
御年81歳。
薬局で働いているといろんな方に出会う機会がありますが、いきなり目の前で股間をいじりだされたのは初めてで、あまりの衝撃に挨拶をするのを忘れてしまった。
この「痛い」に反応してしまったら、シモの話を聞かされるかもしれない・・・・・・。
患者さんに出ていたのは、股間とは関係ないいつものお薬だったので、股間のことはスルーすることにしてしまった。
私が通常モードで対応を始めたので、患者さんも股間をいじるのをやめて、お薬の説明を聞いてくださった。よかった。
仕事納めでした。
世間では、28日の金曜日が仕事納めで29日から正月モードだったみたいで、土曜日の薬局は週の前半のばたばたっぷりが嘘のような静けさでした。
私がいま派遣で入っている薬局は、前のオーナーさんから経営を引き継いだ薬局らしい。
前のオーナー薬剤師さんが地域の方にとても愛されていた方らしく、たびたび、
「さいきん、店主さんみかけないね」
なんて声をかけられる。
そんなわけだから、薬局の品揃えも地域密着。
お年を召した方が多いので、お仏壇があるお家も多いんでしょうね。お線香なんかも置いてある。
今日は、
「とそさんある?」
と聞かれた。
とそさん?
初め、なんのことだかピンと来なかった。
すると、隣にいた事務員さんが、
「今年は屠蘇散置いてないんですよ」
と、フォローしてくれた。
ああ、「お屠蘇」の「とそ」か。
あれ、でも、お屠蘇って薬局で扱うものなのか?
てっきりスーパーで買うものだとばかり思っていた。
気になって調べてみると、
正月に屠蘇を呑む習慣は、中国では唐の時代に始まり、日本では平安時代からと言われている。宮中では、一献目に屠蘇、二献目に白散、三献目は度嶂散を一献ずつ呑むのが決まりであった。貴族は屠蘇か白散のいずれかを用いており、後の室町幕府は白散を、江戸幕府は屠蘇を用いていた。この儀礼はやがて庶民の間にも伝わるようになり、医者が薬代の返礼にと屠蘇散を配るようになった。現在でも、薬店が年末の景品に屠蘇散を配る習慣として残っている。
(Wikipediaより引用)
とのこと。
へえええええ。
縁起物のお酒だとばかり思っていたけど、薬用酒で、薬局であつかっていたんだ。
地域の人の暮らしと薬局が近いことを知ることができて、ちょっと嬉しいできごとでした。