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2024 .04.26
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お薬を渡し終えたあと、患者様が投薬カウンターに荷物を置きっぱなしで帰りそうになるのであわてて呼び止めた。

患者様は、「あ」という顔をしてすぐに戻ってきました。70代のおばあちゃまです。
 
「よくあるの。この間はスーパーのトイレにおきわすれて、気がついてすぐに戻ったんだけど、かばんごとなくなってたのよ。おろして二日のかばんだったのに。財布からお金を抜き取られるだけならまだいいのに、保険証などが入ったポーチもなくなってたの」
 
ひどい話だ。
 
「現金は小銭もあわせて37000円くらい入ってたのよ。警察に届けたけど出てこない」
 
どんな言葉をかけたらいいのか分からず、ありきたりになってしまうが、
 
大変でしたね。心ない人がいますね。」
 
と言うと、
 
「違うの。置いて忘れて行っちゃうほうが馬鹿なの」
 
とおっしゃる。
てっきり、「ひどいわよね」とおっしゃるかと思ったのでびっくりした。
 
「そんな…盗られた方が悪いなんて、そんなことないですよ」
 
私が重ねてそう言うと、患者様は私に子供か孫に言い聞かせるかのようにおっしゃった。
 
いまはそういう世の中なのよ。盗られるようなうっかりをする自分が悪いの」
 
と言う。
どう考えたって、盗る方が悪いのに…。
そんな風に思わせるほど荒んだ世の中ってなんか嫌だなと思った。
 
と、不意に、患者様が私に尋ねた。
 
「ねえ、あなたトイレするとき、カバン持ったままする?」
 
え!?
 
一瞬耳を疑ったが、聞き間違うわけもなく、
 
「いえ、フックにかけますよ」
 
そうお返事した。
 
「そうでしょ。フックにかけると、トイレから出るときに見えるし、体に当たるからわかるのよ。私もカバンもコートもフックにかけたり置いたりしてから用を足すの」
 
患者様に同意して頷くと、
 
「そのときはね、トイレのフックが壊れてたのよ。それで、カバンを脇にある台に置いたの。それで忘れちゃったのよ」

と言う。
 
「それでね、それをお友達に言ったら、台に置くから悪いのよって言うの」
 
台に荷物を置かずして、いかにして用を足すというのだろう…。


疑問に思っていると、私が考えていることが分かったかのように患者様が種明かしをしてくださった。
 
「みんなね、かばん持ったまま用を足すんですって」
 
「えええ!!!」

みなさん、カバンを身に着けたまま用を足すんですか?
いや、そんなまさか。
 
びっくりして患者様に尋ねると、
 
「びっくりでしょう?私もびっくり。でも、みんなかばんを持ったままするんですってよ。私、そんなことできないわよ」
 
私も出来ません。
患者様に同意した。
 
「まあ、それはとにかくね、それ以来、外出先でトイレに行くのが怖くなっちゃって。鬼門みたいな感じっていうのかしら…」
 
さっきまで、楽しそうにお話されていたのに、急にしゅんとしおれたようになって、そうおっしゃった。
 
外出先でトイレに行くのをためらわないといけないって、どんな気持ちなんだろう。
なんだか切なくなってきた。
こんな風にお年寄りの自信を奪うって、犯人はきっと思ってもいないのだろう。
 
「とにかく、あなたも気を付けるのよ。かばんは体から離しちゃだめよ」
 
念を押しながら、今度はしっかり荷物を手に、その患者様は帰って行かれた。
 
 

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「あー痛い」

そう言いながら、投薬カウンターのところにやってきて、おもむろに股間に手を伸ばし、もみもみとしだすおじいちゃん(もちろん、着衣の上からですよ!)。
御年81歳。

薬局で働いているといろんな方に出会う機会がありますが、いきなり目の前で股間をいじりだされたのは初めてで、あまりの衝撃に挨拶をするのを忘れてしまった。

この「痛い」に反応してしまったら、シモの話を聞かされるかもしれない・・・・・・。
患者さんに出ていたのは、股間とは関係ないいつものお薬だったので、股間のことはスルーすることにしてしまった。

私が通常モードで対応を始めたので、患者さんも股間をいじるのをやめて、お薬の説明を聞いてくださった。よかった。

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2012 .12.30



仕事納めでした。

世間では、28日の金曜日が仕事納めで29日から正月モードだったみたいで、土曜日の薬局は週の前半のばたばたっぷりが嘘のような静けさでした。

私がいま派遣で入っている薬局は、前のオーナーさんから経営を引き継いだ薬局らしい。
前のオーナー薬剤師さんが地域の方にとても愛されていた方らしく、たびたび、

「さいきん、店主さんみかけないね」

なんて声をかけられる。
そんなわけだから、薬局の品揃えも地域密着。
お年を召した方が多いので、お仏壇があるお家も多いんでしょうね。お線香なんかも置いてある。

今日は、

「とそさんある?」

と聞かれた。

とそさん?

初め、なんのことだかピンと来なかった。
すると、隣にいた事務員さんが、

「今年は屠蘇散置いてないんですよ」

と、フォローしてくれた。

ああ、「お屠蘇」の「とそ」か。

あれ、でも、お屠蘇って薬局で扱うものなのか?
てっきりスーパーで買うものだとばかり思っていた。

気になって調べてみると、

正月に屠蘇を呑む習慣は、中国では唐の時代に始まり、日本では平安時代からと言われている。宮中では、一献目に屠蘇、二献目に白散、三献目は度嶂散を一献ずつ呑むのが決まりであった。貴族は屠蘇か白散のいずれかを用いており、後の室町幕府は白散を、江戸幕府は屠蘇を用いていたこの儀礼はやがて庶民の間にも伝わるようになり、医者が薬代の返礼にと屠蘇散を配るようになった。現在でも、薬店が年末の景品に屠蘇散を配る習慣として残っている
(Wikipediaより引用)


とのこと。

へえええええ。
縁起物のお酒だとばかり思っていたけど、薬用酒で、薬局であつかっていたんだ。

地域の人の暮らしと薬局が近いことを知ることができて、ちょっと嬉しいできごとでした。



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プロフィール
HN:
タカガキ
性別:
女性
職業:
薬剤師ライター
自己紹介:
保険調剤薬局薬剤師、医薬系広告代理店での編集、メディカルコピーライターを経てフリーランスの薬剤師ライターに。人だけではなく動物の医療の取材も行っています。著書「犬の介護に役立つ本(山と溪谷社)」。

薬剤師向け雑誌、医薬系業界紙のほか、一般の方向けの「編集会議」「Wan」「猫生活」などでもお仕事をさせて頂いています。
代理店勤務の経験を活かし、メディカル系のコピーライティングも。

お仕事のご依頼など、お気軽にお声をおかけください。
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概ね24時間以内にお返事をさせて頂いております。
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